道が広いからできた、
中央車線バスレーン
ソウルの幹線道路は広い
韓国は朝鮮戦争が終戦した後、飛躍的に経済発展をした国で、その経済発展をする手段として、国家を掲げて道路の整備を最優先にし、全国規模で鉄道と比べて道路の整備が優先されることになります。これでよく分かる例が、江南(カンナム)区内の道路の幅の広さです。
三成(サムソン)駅の衛星写真
地図アプリにて三成駅の近辺を見てみると、太い大通りは6~10車線ほどの幅があります。現在の江南区は、1970年代から1980年代にかけて整備された完全なる計画都市で、格子状に道路ができており、幹線道路はすべて6車線以上の幅を確保しており、三成駅を縦断する道路は12車線、横断する道路は10車線という設計で作られています。いかに道路の広さにこだわったかがわかります。
また、江南区のみならず、1970年代以降に計画された幹線道路は広々とした設計であります。さらに、住宅(マンション)が並ぶ地区でも、6車線以上の道路が近所にあることは珍しくありません。
広い道幅を使って「バスレーン」を建設
ソウルでは、モータリゼーションにより市内道路が慢性的に渋滞し、バスの運行速度が低下したため、1993年2月より道路の端の車線を、曜日・時間帯を指定した上、バス専用レーンを青色実践・破線の区画で整備し始めました。バス専用レーンがなかった時代よりはバスの運行速度が高くなったのは事実ですが、以下の問題が目立つようになりました。
1.駐車・停車車両を避ける必要がある
2.バイクのすり抜けによる事故が多発
3.曲がる車によりスピードが下がる
上記以外にも様々な問題が次々と発生し、1996年2月に韓国初の中央車線バスレーンが開通しました(千戸大路の一部区間)。最初の中央車線バスレーンは、歩道橋でバス停と道路端の歩道をつなぐことで、革新的なものでした。
この成功例から、2004年に、ソウル市内のバスの大々的改善が行われたときに、改善内容のうち「中央車線バスレーン」が含まれ、順次的に拡大され、現在は韓国ソウルでは多く設置されています。その構造とは、道路の中央車線をバスレーンにし、道路の真ん中にバス停を設置するといったものなのです。
これらの問題を解決するために、道路の中央車線をバスレーンにし、且つ、従来の時間帯別の規制から全日制にすることで解決を図ったのです。そうしてバスの通行が多い幹線道路から工事が始まり、様々な問題に直面しながらも改良を続けて今の安定した中央車線バスレーンの姿になったのです。
こうして、鉄道よりは道路を重視した政策を多く、鉄道の事業計画は先送りになり、コストが安く済むバスがソウルの市内の隅々を縦横無尽と走るようになり、市民によるバスの利用が活発になったのです。